植田うえだ総裁そうさいら9人にんの政策せいさく委員いいんは、18日にちの会合かいごうで金融きんゆうや経済けいざいの最新さいしん情勢じょうせいについて賃金ちんぎんや物価ぶっかの動向どうこうを中心ちゅうしんに意見いけんを交かわしたのに続つづき、19日にちは2日にち目めの会合かいごうを行おこない、当面とうめんの政策せいさく運営うんえいの方針ほうしんを決定けっていします。

政策せいさく委員いいんの一部いちぶからは、中小ちゅうしょう企業きぎょうを含ふくめた賃上ちんあげの動うごきがどこまで広ひろがっているのか時間じかんをかけて見極みきわめる必要ひつようがあるという慎重しんちょうな意見いけんもあがっていますが、多おおくの委員いいんが、賃金ちんぎんと物価ぶっかがともに上昇じょうしょうする好こう循環じゅんかんの実現じつげんが見通みとおせる状況じょうきょうになったとの見方みかたを強つよめています。

19日にちの会合かいごうでは、賃金ちんぎんの上昇じょうしょうを伴ともなう形かたちでの2％の物価ぶっか安定あんてい目標もくひょうの実現じつげんが持続じぞく的てきに見通みとおせるかを確認かくにんした上うえで、金融きんゆう緩和かんわ策さくの柱はしらとなってきたマイナス金利きんり政策せいさくの解除かいじょに向むけて詰つめの議論ぎろんを行おこないます。

あわせて、短期たんき金利きんりに加くわえて長期ちょうき金利きんりを抑え込おさえこむ、イールドカーブ・コントロールと呼よばれる枠組わくぐみを終了しゅうりょうすることも検討けんとうします。

マイナス金利きんり政策せいさくを解除かいじょして金利きんりを引き上ひきあげれば、17年ねんぶりで、世界せかい的てきにも異例いれいな対応たいおうが続つづいてきた日本にっぽんの金融きんゆう政策せいさくは、正常せいじょう化かに向むけて大おおきく転換てんかんすることになります。

ただ、マイナス金利きんり政策せいさくを解除かいじょしても、追加ついかの利上りあげは急いそがず、当面とうめんは緩和かんわ的てきな環境かんきょうを続つづける方針ほうしんです。

日銀にちぎんは、19日にち昼ひるごろ、会合かいごうで決定けっていした内容ないようを公表こうひょうし、午後ごご、植田うえだ総裁そうさいが記者きしゃ会見かいけんを開ひらいて説明せつめいすることにしています。

金融きんゆう緩和かんわ策さくの転換てんかん 暮くらしや企業きぎょう活動かつどうへの影響えいきょうは

日銀にちぎんがマイナス金利きんりの解除かいじょなど、金融きんゆう緩和かんわ策さくを転換てんかんした場合ばあい、暮くらしや企業きぎょう活動かつどうにどのような影響えいきょうがあるのか、金融きんゆうアナリストの大槻おおつき奈那さんに聞ききました。

大槻おおつきさんは影響えいきょうが出でる分野ぶんやとして、

▽住宅じゅうたくローン、

▽預金よきん金利きんり、

▽円えん相場そうば、

▽企業きぎょうの資金しきん調達ちょうたつの、

4つを指摘してきしています。

住宅じゅうたくローン

住宅じゅうたくローンのうち、短期たんき金利きんりの影響えいきょうを受うけやすく、利用りよう者しゃの7割わり以上いじょうが選択せんたくしているとされる、変動へんどう型がたについては、「日銀にちぎんが政策せいさく金利きんりを引き上ひきあげても、すぐには大手おおての金融きんゆう機関きかんなどが住宅じゅうたくローンの変動へんどう型がたの金利きんりを上あげるには至いたらないと思おもう。政策せいさく金利きんりが0％からもっと上あがる段階だんかいになると、変動へんどう型がたの金利きんりも上あがるのではないか」と話はなしています。

一方いっぽう、長期ちょうき金利きんりの影響えいきょうを受うけやすい固定こてい型がたについては、「日銀にちぎんがマイナス金利きんりの解除かいじょとともにイールドカーブ・コントロールと呼よばれる枠組わくぐみに手てを加くわえた場合ばあい、長期ちょうき金利きんりが上昇じょうしょうするかもしれない。そうなると、これから固定こてい型がたを借かりようとする人ひとの金利きんりは上あがるのではないか」と話はなしています。

その上うえで「自身じしんの住宅じゅうたくローンが何なにに連動れんどうするのか、特とくに変動へんどう型がたの金利きんりで借かりている方々かたがたは、契約けいやく書しょをもう一度もういちど見みてみて、どういう場合ばあいに金利きんりが上あがるのかを確認かくにんしてほしい」と話はなしています。

預金よきん金利きんり

預金よきん金利きんりについては、「かつて銀行ぎんこうは、金利きんりが上下じょうげする局面きょくめんで少すこし状況じょうきょうを見みながら時間じかん差さを置おいて対応たいおうを決きめることが一般いっぱん的てきだったが、今回こんかいは、もしかしたら比較的ひかくてき早はやく動うごくかもしれない」と話はなしています。

その上うえで「人口じんこう動態どうたいの変化へんかで、特とくに地方ちほうの金融きんゆう機関きかんでは預金よきんが減へっているところもある。政策せいさく金利きんりが変化へんかした場合ばあいには、比較的ひかくてき早はやい段階だんかいで政策せいさく金利きんりに近ちかい水準すいじゅんまで預金よきん金利きんりを上あげる金融きんゆう機関きかんがあっても不思議ふしぎではない」と指摘してきしました。

円えん相場そうば

大槻おおつきさんは、外国がいこく為替かわせ市場しじょうで見込みこまれる動うごきとして、「為替かわせレートは相手あいて国こくと自国じこくとの金利きんり差さで動うごくことが多おおいため、もし日本にっぽんの金利きんりがさらに上あがっていくと市場しじょうが思おもえば、円えんを買かう動うごきが強つよくなり、円えん高だかに振ふれる可能かのう性せいがある。円えん高だかが進すすめば輸入ゆにゅう品ひんの物価ぶっかが下さがりやすくなるが、保有ほゆうする外貨がいか建だての資産しさんが目減めべりすることも考かんがえられる」と話はなしています。

企業きぎょうの資金しきん調達ちょうたつ

企業きぎょうの資金しきん調達ちょうたつについては、「企業きぎょうの借入かりいれ金利きんりは政策せいさく金利きんりに敏感びんかんに連動れんどうするため、仮かりに政策せいさく金利きんりが0.1％上昇じょうしょうすれば、借入かりいれ金利きんりも変動へんどう型がたで借かりている企業きぎょうは金利きんりが0.1％かそれ以上いじょうに上あがる可能かのう性せいがある」と話はなしています。

また、長期ちょうき金利きんりが上昇じょうしょうした場合ばあいには固定こてい型がたの借入かりいれ金利きんりも上昇じょうしょうする可能かのう性せいがあると見みています。

その上うえで、大槻おおつきさんは「借入かりいれ金利きんりが上あがると、企業きぎょうの投資とうし活動かつどうに対にたいしマイナスの影響えいきょうが出でるおそれがあるが、業態ぎょうたいを転換てんかんすることやイノベーションを起おこすことで利益りえき率りつを高たかめていこうという動機どうきも出でてくる。金利きんりがマイナスという異常いじょうな状態じょうたいから正常せいじょう化かしていくということは、企業きぎょうのあり方ありかたも変かわっていく第一歩だいいっぽなのではないかと思おもう」と話はなしていました。